先日1歳6か月の娘が「川崎病」で入院しました。
「川崎病」という病気、聞き覚えのない親御さんも多いのではないでしょうか?
知名度に反して、乳幼児の約70人に1人と、少なくない割合で発症しています。
そんな川崎病を、多くの親御さんに知ってもらいたいと思い、娘の発症から入院までの状況をまとめたので、ぜひご一読ください。
川崎病とは?
川崎病は原因不明の病気です。
4歳以下の乳幼児に多く、全身の血管に炎症がおきていろいろな症状が出ます。
川崎病にかかって一番問題なのは、心臓を栄養する血管である冠動脈に動脈瘤(こぶ)を形成することです。
川崎病にかかったお子さんの約3%になんらかの瘤ができてしまいます。
冠動脈に瘤ができると、将来的に血管が狭くなったり、血のかたまり(血栓)で冠動脈が詰まったりして、狭心症や心筋梗塞を起こす危険性が高まります。
川崎病の症状と診断基準
下記の6つの症状のうち5つ以上当てはまれば、川崎病と診断します。
① 高熱
② 両側の眼球結膜(目の白いところ)の充血
③ 真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌
④ 体の発赤疹
⑤ 手足の腫れ
⑥ 首のリンパ節の腫れ
また小さなお子さんでは、BCGを注射した場所が紅く腫れ上がることも、特徴的な症状の1つです。
娘はBCG注射痕が腫れたため川崎病に気がつけました…!
川崎病の原因
細菌の感染、ウイルスの感染、なんらかの環境物質による刺激などがいわれていますが、今のところその原因は特定されていません。
ただ、川崎病にかかる率は日本人など東アジア系の人種で多くなっています。
川崎病の治療
川崎病は、治療のガイドラインがあり、基本的にこのガイドラインに沿って治療が進められます。
治療は、まず免疫グロブリンと呼ばれる血液製剤を点滴で投与し、同時に血液を固まりにくくするアスピリンというお薬を内服する、という内容です。
多くの患者さんはこの治療後2日以内に熱が下がり、治療が有効だった患者さんは冠動脈に瘤をつくることは多くありません。
免疫グロブリン治療後も高熱が続くような場合には、追加の治療を行います。免疫グロブリン製剤を再投与したり、インフリキシマブやシクロスポリンという特別なお薬を使用したり、血漿交換という手技を行ったりします。
それではここからは娘の川崎病の経過をお話します。
1歳6か月娘の初期症状~入院までの経過
娘の場合、発症5日目にかかりつけ医受診→大学病院初診→入院となりました。
発症してからの5日間の状況を、1日ずつ説明します。
1日目:発熱
木曜日。
夕方頃からぐずぐずが止まりません。
断乳して間もなかったため、断乳の影響だと思いましたが、娘に触れると少し熱い気が。熱を測ってみると38℃台でした。発熱と不機嫌以外、変わったところは見られませんでした。
2日目:BCG痕の発赤が出現
金曜日。朝の体温は37℃前半。
ほっとするも、午後にまた発熱。一日中ぐずぐずの抱っこちゃんで母の腕も限界。
このぐずぐずの感じ、過去にも経験がありました。上の子が1歳後半で患った「突発性発疹」、別名「不機嫌病」。今回も真っ先に突発性発疹を疑いました。ですから、この時は「解熱後に発疹がでるのかね~」と呑気に思っていました。
同時に気になる症状を発見。BCGの接種分が赤くなっていました。BCGの接種から1年程経過しているため、コッホ現象はあり得ません。
「BCG接種部位 赤い」とググると、「川崎病に特異的な症状」「川崎病以外でも赤くなることがある」などというヒット。まさかね、と思いながらも、川崎病を頭にインプット。
3日目:全身に発疹が出現
土曜日。朝の体温は37℃台。
おなか、背中、太ももにポツポツ発疹がでてきました。解熱後に発疹、ということはやっぱり突発性発疹だったんだ、と確信しました。
しかし夕方からまた発熱。突発性発疹なら発熱中は発疹がでないはず。この時に「なんだかおかしい」と思い始めました。
4日目:川崎病を強く疑う
日曜日。相変わらず体温は37℃~38℃後半を行ったり来たり。
ぐずぐずはピークに。なぜか服を脱ぎたがります。着せてもオムツまで脱ぐので、結局1日中素っ裸でおもらし放題。大変な1日でした。
突発性発疹じゃないし、やっぱり…川崎病?
この日は日曜日でかかりつけ医は休診だったため、翌日入院覚悟で受診することを決めました。
5日目:背中の発疹が拡大、目の周りに赤み出現、受診→入院
月曜日。熱は38℃台。
背中の発疹が広がっています。目の周りも赤くなってきました。
この日にかかりつけ医を受診しました。その後総合病院の受診・入院と、トントン拍子で進んでいきます。
かかりつけ医の受診
下記の流れで進んでいきました。
- 9:00かかりつけ医予約
当日予約のみのため、予約後しばし待つ。 - 10:30かかりつけ医受診
川崎病診断基準を確認すると、
① 高熱 →〇
② 目の充血 →×
③ 真っ赤な唇 →×
④ 体の発赤疹 →〇
⑤ 手足の赤み →×
⑥ 首のリンパ節の腫れ →×
となり、6つの主要症状のうち2つを満たしているとのこと。5つ以上満たす必要があるので、これだけでは診断には至りません。しかしBCGの発赤があるため、川崎病の可能性が高いとの診断。病院の受診を勧められました。
- インフルエンザ、コロナ検査実施
病院受診の際、これらの感染でないと証明する必要があるため実施。 - 一旦帰宅
- 11:00電話【検査結果、受診先決め】
インフルとコロナの検査結果は「両方陰性」と電話。受診先の候補を決める。かかりつけ医が直接病院に予約を取るためしばし待機。
- 11:30電話(再)【受診先決定】
第2希望の病院に決定。紹介状を取りに来て今すぐ行くようにと。
第1希望は満床でした。 - 11:35移動
すぐに娘を連れてタクシーに乗り、かかりつけ医に寄って紹介状を受け取り、病院へ向かいました。
診断基準を満たしていないので、もしBCG接種痕が赤くなかったら、病院の受診を勧められなかったかもしれません。川崎病の診断の難しさを目の当たりにしました。
続いて、ここからはタクシーで総合病院に着いたあとのお話です。
総合病院の受診
12時ごろ到着。受付で紹介状を渡し、小児科へ。
下記の流れで進んでいきました。
- 12:30身長・体重測定、発疹の撮影【小児科・処置室】
身長・体重を測定し、病変をスマホで撮影。 - 13:00医師の診察【小児科・診察室】
優しい女性の先生に、丁寧に娘の病変を見ていただきました。川崎病診断基準を確認すると、
① 高熱 →〇
② 目の充血 →〇
③ 真っ赤な唇 →〇
④ 体の発赤疹 →〇
⑤ 手足の赤み →〇
⑥ 首のリンパ節の腫れ →×
となり、6つの主要症状のうち5つを満たしているとのこと。私から見ても、かかりつけ医を受診時から症状が悪化していると実感しました。
他の感染症を否定するために、血液検査などの検査を進めることに。
- 血液検査、点滴ルート確保、睡眠薬服用【小児科処置室】
母は検査室の外に出て、娘の泣き叫ぶ声を聞きながら約20分待機。左腕をタオルでぐるぐる巻きにされた娘が出てきました。
次に行う心エコー、心電図の検査は動くと測定できないため、睡眠薬を飲ませたと事後報告がありました。
- 心エコー、心電図検査【検査室①】
小児科を出て検査棟へ。娘は神経質なのかなかなか眠れず、寝かせるのに一苦労。病院のながーい廊下を行ったりきたりして寝かせました。
30分かけてしっかり寝かせ、やっと心エコーにたどり着くも、診察台に置いたらぐずぐず。途方に暮れる私 vs 睡眠薬に抗う娘。
結局診察台に私が座って壁に寄りかかり、その上に娘を仰向けにすることで、なんとか寝かせることに成功。30分以上その姿勢だったため私はとっても疲れました。
- 胸部X線検査【検査室②】
部屋に入り娘を預け、「お母さん撮影するので部屋を出て行ってくださーい」の後10秒くらいであっさり撮影終了。心エコーが大変だった分、拍子抜けでした。 - 医師の診察(再)【小児科診察室】
小児科に戻ってきて、血液検査結果と治療方針について、以下のように説明がありました。<血液検査結果>
・炎症の度合いを示す「CRP」が高い。他の症状と合わせると、川崎病で間違いない。
・心臓への負担を示す「BNP」が高い。川崎病では高くなりがちで、今後さらに高くなることもある。<治療方針>
・川崎病の治療はどの病院で行ってもほぼ同じ
・治療や検査のスケジュールを時間軸に沿って計画された「クリニカルパス」に沿って進める - 16:00入院
医師の診察後すぐ、入院案内と入院中の担当医の挨拶がありました。看護師に連れられて病棟へ向かい、16時ごろ入院となりました。
以上、入院までの経過でした。
入院中の経過は
入院から退院までの経過は、【体験記】突発性発疹だと思ったら、川崎病でした ②入院中~退院までにまとめてありますので、ご覧ください。
大荷物+抱っこの娘を抱え、怒涛の移動でした…。
ベビーカーを持って行かなかったことを大後悔。
まとめ:川崎病は早期治療が大事です
本記事では川崎病がどのような病気なのかと、1歳半の娘の病状の経過をご紹介しました。
川崎病はいざ診断されると1~2週間の、それも即日の入院が必要となり、焦燥する親御さんが多いかと思います。
私は事前に調べていたため、落ち着いて行動できました。
川崎病を知るきっかけになると幸いです。
今回は、以上です。
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